2016/07/07 16:45

今日は「鉛筆」の話です。

 

「あなたは鉛筆を使っていますか?」

 

 この質問に、首をタテに振る方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。

 

「鉛筆なんて家に1本もないぜ/ないわ」。という方もいらっしゃるでしょう。

 

でも、「鉛筆を1度も使ったことがない」という人は、おそらく1人もいないでしょうね。

 

 

自分の鉛筆というものを初めて手にするのは、やはり小学校に入学するときですかね。

 
真新しい鉛筆を5、6本と見事に四角ばった白い消しゴムを筆箱に入れて、期待と不安に胸を膨らませて登校しましたよね。

 
思い出すと懐かしくないですか?

 
だけど、高学年になってくると鉛筆の代わりにシャープペンを使い始め、中学・高校と進学するにつれ、鉛筆を使う生徒などほとんどいなくなり、やがて大人になった私たちは、その存在さえ頭の中から消え去ってしまいます(実際、冒頭の質問で久しぶりに鉛筆のことを思い出した人もいたのでは?)。

 
それが我々日本人にとっての、鉛筆というものが辿る運命のようなものなのでしょう。

 
でもこのへんで、もう一度「鉛筆」というものを見直しませんか?

 
筆記具の基本中の基本である鉛筆、よく考えたらとても便利で楽しいものなのです。

 
まず、鉛筆はどこでだって書けます。ボールペンや万年筆は上向きで使うとインクが下がってすぐに書けなくなってしまいますが、鉛筆はそんなことはありません。寝転がったままでもいつでもスラスラと書けます。

 
それにインクと違って乾いてしまうということがないので、そのへんにずっと放置しておいても、固まって書けなくなるということがありません。いつでも必要なときにサッと使えます。裏写りもしないので紙を選びません。

 
便利ですね。

 
そして鉛筆の最大の魅力といったら、なんといっても「使ううちに短くなってゆく」、ということです。

 
初めは鋭く尖った芯先で紙に字を書きます。なんともいい感じですね。しかし少し使って丸くなった芯先も、これはこれで一興です。紙にあたる角度を微妙にずらしながらスラスラと字を書くていくのもすごく楽しいです。

 
そして、もうこれ以上書けないな、というとこをまで書いたら、鉛筆削り(電動でも手動でも)やナイフで削り、また芯先を針のように尖らせる。

 
この作業をずっと続けていくと、鉛筆は徐々に短くなっていきます。

 
やがて、あんなに長かった鉛筆が、全長1cmくらいの小さくなんとも頼りない一つの木片に変わった時、彼はその鉛筆人生の一生を終えるのです。

 
まあ、ごく当たり前のことなのですが、これが鉛筆の楽しさですよね。

 

 
たくさん字を書いて芯先を削るごとに「お、だいぶ短くなってきたな」「そろそろエクステンション(つけ毛ではなく『補助軸』です)を使わなくては」。とかなんとかつぶやきながら、右から左から眺めるんです。なんていうか、すごくウキウキした気持ちになります。

 
ちょっと変ですか?

 

いやいや、そんなことはないと思いますよ。

 
だって、いいですか、私が思うこの鉛筆の楽しさ、あの小説家の村上春樹氏もほぼ同じことをおっしゃっているんです。

 
ウソではありません。

 
新潮社発行の電子書籍版「村上さんのところ(コンプリート版)」の750ページにちゃんと書いてあります。

 
氏は、「昔から鉛筆がとても好きです」とおっしゃっています。

 
氏は、小説の原稿自体はワープロソフトを使ってMacで書いているそうですが、書き上げた原稿を出版社に送ってそれがゲラ刷りになって返ってきたときに、鉛筆を使うのだそうです。

 
氏は書いています。

 
「鉛筆は主にゲラに手を入れるときに使います。ゲラにいっぱい手を入れて、いっぱい文章をなおして、鉛筆がどんどん短くなっていくのを見るのが好きです。幸福な気持ちになれます。」

 
「変な趣味ですね。」とご自身でおっしゃっています。

 
この文章を読んだとき、誠におこがましい話ですが、私は氏と全く同じ思いだ、と思ったものです。私は小説家ではないので(そんなわけはないです)、「ゲラ」なんていうものに手を入れるなんていう機会はおそらく一生ないですが、その他の点では全く同じ思いです。短くなった鉛筆は、もちろん捨てずにとってあります(だいぶ昔のはさすがにいつの間にかなくなっていましたが)。

 

そう、鉛筆は楽しいものなのです。あなたにもぜひ、この鉛筆の楽しさを知ってもらいたいです。

 
たしかに、ワープロソフトや携帯電話のほうが比較にならないくらい便利です。だけど、賭けてもいいですが、そんなデジタル機器ではおよそ絶対に感じることのできない楽しさや喜びが、ごくささやかことではあるにせよ、鉛筆みたいなアナログ機器(機器といえるのかな)にはあると、私は信じて疑いません。これは、どんなに世の中が進歩してもです。この、誰に読んでもらえるともわからない文具ブログでさえ、初めは鉛筆で書き、読み返しながら万年筆で清書して、それからパソコンでパタパタと打ち込みます。おかげで半日かかります(笑)。でもそれでいいんです、それが楽しいんです。

 

 


もっともアメリカあたりでは、(楽しんでいるか否かはわかりませんが)鉛筆はまだまだ主流の筆記具として重宝されているようです。

 

小さなコーヒー・ショップなんかに行くと、耳に鉛筆を挟んだあんちゃんが「Hi, guys」と言って笑顔で迎えてくれます。ローカルなファミリー・レストランのだるそうなウェイトレスさんがオーダーをメモするときは、だいたい鉛筆です。私の心の師であるニューヨークのアブラッソ・エスプレッソのオーナーであるジェイミーさんも、焙煎の記録を取るとき鉛筆を使っていました。

 

さあ、そろそろあなたも鉛筆でカリカリと文字や数字を書きたくなってきたでしょう。

 

どうせ使うならかっこいい鉛筆。村上春樹さんもジェイミーも、アメリカの「ペーパーメイト」というメーカーの鉛筆です。

 

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